タイの伝統料理『カオチェー(Khao chae)』というメニューをご存じでしょうか?
タイが一番暑くなるソンクランの時期の3月や4月に暑気払いとして食べられるお食事なのですが、私はその存在自体を知りませんでした。
先日、バンコクにある老舗レストランの「Kalpapruek Silom(カラパ プルック)」でこちらをいただける機会がありましたので、そのお話をシェアしたいと思います。
素敵なレストランはデザートもとても有名で、店内や中庭の雰囲気もとても良く、特別なシーンにも使えるレストランでしたので詳しく説明をしていきます。
カオチェーとは
硬めに炊いたご飯のぬめりを取り、ジャスミンなどの花で香り付けした冷水にご飯を浸したタイの伝統料理。カオチェー自体に味は付いていないので、濃い味付けのおかずと一緒に食べるのが定番です。
諸説ありますが、もともとはモン族が旧正月を祝うために食べられていた料理の原型だそうです。発祥はモン族というビルマ系の民族の正月料理で、19世紀のラーマ5世の時代に宮廷料理として好まれ、そのあとに庶民の間にも広がっていったそうです。食欲の湧かない暑い時期に、ジャスミンの香りがする清涼感のあるカオチェーが王族の人たちにも喜ばれたのでしょうね。
硬めに炊いたタイ米のぬめりを取ったサラサラなご飯に、ろうそくの煙とジャスミンの花で香り付けしたジャスミン水をかけて食べるものだそうですが、こちらの素敵なレストランはきちんとジャスミンのお花も浮いていました。
一緒いただくのは、魚の詰め物入りのパプリカ、甘辛い豚肉、揚げたエビペーストボール、切り干し大根の炒めたもの、魚のフライなどでした。素敵なカービングは右からきゅうり、青マンゴ、生チリ、ワイルドジンジャーでこちらもいただきながら冷たいごはんを食べ進めて行くのです。
【食べ方】
スプーンでおかずをひとくち、口の中に入れてから、水に浸されたお米をその同じスプーンでお上品にいただくのです。お米の入ったボールにはおかずのかけらなどで汚さずに食べるのがマナー。この中におかずを全部しまうのはマナー違反とのこと。タイらしい美しさがありますね!
Kalpapruek Silomについて
Kalpapruek Silom(カラパ プルック)は外からはカフェのように見えますが、店内はとても広く、2階には20人ほどが食事を取れる予約席もありました。驚いたのは中庭も素敵で、大きな木の下にテラス席がありました。
オーナー家は王室出身。敷地内には現在もお屋敷があるそうですが、その一部をレストランとカフェに改装し「タイの正統派料理が食べられる庶民派レストラン」として1976年にオープン。このレシピも王室から伝わるものを提供しているとのことです。
オーナーさんはフランスで料理研究をしていた経歴と代々伝わる王室関係者からタイ料理の伝統を教わってきた方なので一般的なタイ料理から西洋料理もあり、種類豊富なタイデザートまで本当になんでもメニューにありました。
そしてその店内にはパンや焼き菓子、タルト、ケーキなどのデザートが豊富に並べられ、その美しかったこと!
平日のお昼に行きましたが、シーロム周辺の会社員の方も多くいた雰囲気ですので予約を行うかお昼前に行かれるほうが良さそうです。閑静な場所に白を基調とした一軒家風レストランはどなたと行かれても喜ばれると思います。
まとめ
カオチェーはユネスコのタイ・ガストロノミーに登録されたグルメ。作る工程は簡単ではなく、お米のヌメリを取るのが美味しさの分かれ道なんだそうです。
バンコクのホテルでは、この時期の特別料理としてこのメニューがあるそうなのでお試しください。バンコクはソンクランの暑季にしか食べられないカオチェーですが、本場であるペッチャブリーでは年中食べることができるそうです!
この時期にご旅行が重なれば良い体験となると思いますので是非トライをしてみてください。現地の方に聞くと現在のタイの動向は若者があまり食べないそうで、ご年配の方の食べ物とのことでした。
でも初めての経験とおかずの美しさと美味しさに感動した良い経験でした。お値段は今回は日本円で2,000円ほどでしたが、おかずがもっと少なかったり、ローカルの方に行けば数百円程度で食べれるものだそうです。
ジャスミンの香りが苦手な方もいらっしゃると思うので、好き嫌いが分かれる食べ物かも知れません。私はひと口目は少し衝撃を受けましたけど、きっとジャスミンティーをかけたお茶漬けはこんな感じなんだろうなとも思いましたし、日本の暑い夏でも良いかもしれませんね!
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